2、インドの牛 ミルザーの雑記帳

バラナシの牛
インドでは牛はシヴァ神の乗り物として神聖視されている。特にバナラシ(ベナレス)はヒンドゥー教最大の聖地ということもあり、町中で牛を見かけることが出来る。しかしこれらの牛は野良ではなくて、れっきとした飼い牛である。早い話、餌代を浮かすためにこれらは飼い主達によって放し飼いにされているだけなのだ。この国の牛は群れで移動するという習性があまりないようで、基本的に単独でのみ動く。しかし帰巣本能はばっちりとあるので、どこに行っても迷うことなくしっかりと飼い主の牛舎に戻って来る。写真は雄牛であるが筋肉質の体と鋭く尖った角、そして目つきの悪さが特徴だ。正面から見るとまるで眼を付けられているようである。

放し飼いにされているだけあって、町の至る所に牛の糞が落ちているが、これらは回収後に日干しにされて釜の燃料として使われる。大都市などで電車に乗っていると、線路沿いの壁で牛糞が日干しにされている光景を頻繁に見かけることができる
ガンジス河と水牛
一方、インド人は真っ黒い水牛を聖なる牛のカテゴリーには含めない。むしろヒンドゥー教の教えでは水牛は悪魔の乗り物として伝えられる。しかしながら、牛よりも水牛のミルクを好む人達も多いので、実際は水牛も牛と同じように重宝されている。水牛は帰巣本能がないためかどうかは分からないが、普段は飼い主によって群れごと移動させられている。ガンジス河の畔に行くと、水牛の群れが気持ち良さそうに水浴びしている様子を見ることが出来る。 ガンジス河と水牛
上述したようにヒンドゥー教徒から神聖視されている牛であるが、インドの一般のイスラム教徒達は牛肉を好んで食べている。イスラム教徒は、牛肉をバラーゴーシュト(大きい肉)と言って、チョーターゴシュト(小さい肉)と呼ばれるマトン肉と明確に区別する。ニハーリー(牛肉を一晩煮込んだシチュー)やパーエ(牛の足を骨ごと煮込んだカレー)などはインド亜大陸の代表的なイスラム家庭料理である。コルカタをはじめとする大都市の食肉市場などでは、屠られて分解された牛や水牛の巨大な肉の塊が吊るされている。だが、牛や水牛の頭部の皮は剥がされていて、素人目にはどちらなのか判別することができない。これはヒンドゥー教徒の感情を害さないための処置だと言われる。
余談であるが、バラナシのダールマンディーにあるイスラム教徒食堂で出されるビーフビリヤーニやビーフカレーには100%水牛の肉が使われている。なぜならばバラナシのあるU・P州では牛の屠殺が禁止されているためにイスラム教徒も公には牛肉を口にすることができないからだ。



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