2、 壁

これは放浪時代にビハール州にあるブッダガヤという町を初めて訪れた時の出来事だ。ブッダガヤは仏陀が悟りを開いたとされている地であり、現在も毎年世界中から多くの巡礼者や観光客が訪れる有名な町である。

その日、ブッダガヤに到着したばかりの僕がチェックインした宿は、ネーランジャー河近くにあるVゲストハウスであった。Vゲストハウスは、2階建てのこじんまりとした清潔な安宿であった。 部屋に入るとすぐに僕は、長旅で疲れた体を休めるためにベッドにごろんと横になった。あ〜疲れた。しばらく寝よう。仏教寺院には明日にでも訪れることにしようか。そんなことを考えながら何気なくベッドの向かい側にある壁の方に視線を向けると、壁一面にドス黒い染みが模様のごとく広がっているのが目に入った。汚い壁だなと思った。

それから数分が過ぎた。壁の方をぼんやりと見ながら、ベッドでうとうとしかかっていた僕は、突然、ある異変に気がついた。壁の黒い染みが上下左右にうねうねと揺れているように見えるではないか。目の錯覚であろうか?あれ、おかしいなと思いながら、ゆっくりとベッドから起き上がって壁に近づいてよく見てみる。しかし、その瞬間、僕は恐怖でウギャーッと叫び声を上げて背中からベッドの上にどすんと倒れ込んでしまった。

壁の真っ黒な模様は染みではなかった。そこには、おびただしい蟲・・・。



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